Photographer | Film maker

 

 

『emergence』x Kotona Minami volume 2

「記録」というテーマに対峙したとき、

「なぜ人は記録するのか?」

という問いが真っ先に浮かんだ。

僕たちは何のために撮り、誰のために残すのだろうか。

撮影に臨む以前、南琴奈という女優と僕は、まったくの他人だった。

しかし、出会ってから撮影が終わるまでのわずか数時間、僕が目の当たりにしたのは、演者という姿の奥に潜んだ彼女の“真実”。

「強く生きる」

カメラの前で、彼女は海に向かってそう叫んだ。

夕日に照らされた輪郭はあまりに眩く、強く、美しい。

彼女の“今”を写し、未来に残したい。

この撮影を決めたときから湧き上がっていたその思いが、より強い確信として心を打った。

まっすぐに遠くを見つめる視線の先には、一体なにが見えているのだろうか。

いつも笑顔のその奥には、どんな努力が隠れているのだろうか。

勇敢なその姿勢の裏には、忘れることのない信念があるのかもしれない。

海に向かって放たれた言葉は、きっと過去との抱擁であり、未来との約束だ。

これからたぐり寄せる長い人生で、彼女がもし荒波とも向き合わなければならないのだとしたら、この記録が彼女の道を照らす小さな灯りの1つとなってほしい。

彼女のエネルギーが世界を大きく動かすとき、連なる記録が追い風となるよう願いを込めて。